公開 2025年2月26日/更新 2025年2月26日/7 分で確認
マーケティングの実験は、不確実性を明確にし、ブランドが疑問を投げかけ、新しいアプローチを試み、仮説を検証し、データに基づいた意思決定を行うことを可能にします。Forge2024では、PaneraのCatherine Thacker氏、BET+のAngela Onwuka氏、Samsung WalletのPeter Isaacson氏という3人の業界リーダーを迎え、実験がどのようにエンゲージメントやコンバージョンを促進するのかについて議論しました。
セッションでは、登壇者たちは、好奇心と適切なツールの組み合わせが、実験の効果を最大化することが強調されました。また、テストは単なる戦略ではなく、オーディエンスに響くものを理解するために不可欠なプロセスだと語ります。
本記事では、彼らの実証済みのマーケティング実験アプローチを掘り下げ、顧客エンゲージメントを最適化するための実践的な手法をご紹介します。
もっと正確に言えば、これは仮説ではなく、すでに証明された事実です。マーケティングの実験は、エンゲージメントの向上につながります。
「私たちは常にテストと改善を繰り返し、マーケティングのエンゲージメントを強化しています。その結果、MAU(マンスリーアクティブユーザー)、セッション数、ユーザーの定着率が大幅に向上しました」とPeterは語ります。
Angelaも「テストをしないのは、チャンスを逃しているのと同じ」と話し、「テストと最適化を行うことで、何がオーディエンスに響くのかを理解できます。それによって、顧客や見込み顧客とのあらゆる接点を最大限に活用できるのです」と付け加えました。
Catherine も同意し、「テストをしなければ、適切なメッセージが、適切なオーディエンスに、適切なタイミングで届いているかどうか分かりません」とコメント。この理解こそが、成果につながるのです。
マーケティングの実験を始める際の大きな障壁のひとつが「何をテストすればいいのかわからない」という戸惑いです。コピーやクリエイティブ、配信のタイミングやメッセージ内容など、テストできる要素は無数にあります。では、どこから手をつけるべきでしょうか?
「何でもテストしてみましょう」とPeterは提案します。「コピーやボタンの色、新しい件名など、どんな小さなことでも構いません。実際に試してみることで、アンケートや画面上のデータでは見えなかったユーザーの反応が見えてきます」
Peterは、顧客調査をテストの出発点にするのが効果的だと話します。「顧客インサイトは、テストの重要な指標になります。アンケートを活用して、メッセージは分かりにくくないか?オファーはもっと魅力的にすべきか?といった疑問を投げかけることで、実験に活かせる貴重なヒントを得ることができます」
では、実験を成功させるために最初から完璧を目指すべきなのでしょうか?専門家たちは「その必要はない」と断言します。
「完璧を求めすぎて行動を止めてしまうのはもったいない」とCatherineは言います。「理想的な実験設計ができずとも、小さな試みを重ねることが大切です。小さな変化が積み重なり、やがて大きな成果につながります。まずは、無理なくできることから始めて、このプロセスが有益であることを実感することが重要です」
実験の文化が成熟し、自信がついてきたら、どのようにしてビジネスに最も大きな影響を与える実験に集中し、確実なデータを得ることができるのでしょうか? その鍵となるのが、プロセス、優先順位付け、測定 です。
「テストを実施する際には、どのようにアイデアを取り入れ、優先順位をつけ、実行するかというプロセスが必要です」とCatherineはアドバイスします。「測定基準と手法を明確にすることで、結果を報告する際の信頼性を高めることができます。」
Angelaは、「テストの優先順位を決め、必要なリソースを整理するためにテストのロードマップを作成することが重要」と述べています。これにより、データチームやクリエイティブチームと連携し、スムーズな実行が可能になります。
Peterもまた、「何を最適化しようとしているのかを明確にすることが重要」と話します。そして、適切なチーム体制の必要性についても触れました。
「テストの計画と実行を支えるためには、適切なチームが必要です。プロダクトチームやエンジニアリングチーム、クリエイティブの迅速なバリエーションを作成するデザイナーや代理店、コピーライターなど、各分野の専門家と協力することが成功のカギとなります。」
生成AIによるコピーライティングが話題となる中、「従来の人間のライターこそ重要だ」と主張する人がいることは、意外に思われるかもしれません。私たちの専門家もAIを活用して生産性や成果を向上させていますが、人間の創造性とのバランスを取ることが鍵 だと考えています。
「生成AIによるコンテンツは試行錯誤している段階ですが、すでに良い結果が出ています。例えば、大規模なキャンペーンで生成AIによる件名を使用した場合、開封率が15%向上し、コンバージョン率も上昇した」とCatherineは語ります。
しかし、ブランドのトーンやメッセージをAIで完全に再現するには、まだ課題があるとのことでした。
Peterもまた、「AIによるコピー生成は進化しているが、まだ主流のツールではない」とし、「AIが提案するコピーを見るのは興味深いが、今のところ“補助的なツール”として捉えている。ただ、AIの発展は急速で、近い将来、この考えも変わるかもしれない。」と述べています。
一方で、分析や最適なインテリジェントタイミングの算出など、コピーライティング以外の用途においてはAIの有効性が際立っている という点で意見が一致しています。
「AIはパーソナライゼーションを大規模に実行する うえで非常に効果的です」とCatherineは話します。「たとえば、予算や利益率、ターゲット層などのパラメータを設定すれば、AIがリアルタイムで学習しながら最適なオファーやメッセージを調整できます。」
さらに、Angelaは「AIは今後、A/Bテストの予測精度を向上させ、統計的に有意な結果をより迅速に導き出す役割を果たすようになる」と予測しています。
マーケティングの世界は日々進化していますが、今こそ、世界でいちばんのマーケターになる、絶好のタイミングだと言えるでしょう。
ここで紹介したのは、実験的アプローチのほんの一部にすぎません。
戦術的テストと戦略的テストの違い、多変量実験を活用すべきタイミング、Brazeをはじめとするツールをテックスタックに統合する方法など、より深く学びたい方は Forge On Demand をぜひチェックしてください。
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