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Click-To-Cancelルールとは? ブランドにとって重要な理由

公開 2025年2月27日/更新 2025年2月27日/11 分で確認

Click-To-Cancelルールとは? ブランドにとって重要な理由
作成者
Team Braze

米国連邦取引委員会(FTC)は、消費者や連邦・州政府機関、消費者団体、業界団体から寄せられた16,000件以上の意見を受け、新たに「Click-To-Cancel(クリックで解約)」ルールを発表しました。このルールは、消費者がサブスクリプションや会員登録を簡単に解約できるようにすることを目的としており、2025年4月に施行される予定です。

この新ルールは、自動更新型のサブスクリプションや無料トライアル後に有料へ移行するサービス、定期購入型の商品発送を提供する企業に影響を及ぼします。

ブランドがこのルールを理解し、ビジネスに与える影響を把握できるよう、短いガイドをまとめました。詳しく見ていきましょう。

「Click-To-Cancel」ルールとは?

「Click-To-Cancel(クリックで解約)」ルールとは、FTC(米国連邦取引委員会)が2024年10月に発表した規制で、サブスクリプションの解約手続きを、登録時と同じくらい簡単にすることを企業に義務付けるものです。このルールは、オンラインで簡単にサービスに登録できる一方で、解約が複雑で分かりにくいという消費者の不満を受けて導入されました。

特に対象となるのは、「ネガティブ・オプション・プログラム」と呼ばれる仕組みです。これは、ユーザーが解約手続きをしない限り、契約が自動的に更新され、料金が請求され続けるような会員制サービスやサブスクリプションを指します。

これまで、この仕組みはグレーゾーンとされてきました。というのも、ユーザーが「解約しない」のは、本当に継続を望んでいるのか、それとも請求が続いていることに気づいていないだけなのかが明確ではなかったからです。今回の「Click-To-Cancel」ルールにより、企業側が契約内容を明確に提示し、簡単に解約できる環境を提供する責任を負うことが義務付けられました。

なお、このルールは毎年の契約更新時にユーザーの同意を再取得することを義務付けるものではありません。ただし、企業はサービスの内容や料金の発生頻度を明確に説明し、顧客の請求情報を取得する前に「明確で十分な情報を提供した上での同意(express informed consent)」を得ることが必要とされています。

「Click-To-Cancel」ルールの6つの重要ポイント

1. 解約方法

  • 登録時と同じ方法で解約できる必要がある。例:オンラインで登録した場合、解約時に電話連絡を必須にすることは不可。

2. 手続きの簡単さ

  • 解約手続きは、登録時と同じくらい簡単であること

3. 迅速な処理

  • 企業は解約を速やかに処理し、以降の請求を停止すること

4. 視認性の確保

  • 解約ボタンやリンクを分かりやすい場所に表示すること

5. 情報開示

  • 契約内容を事前に明確に伝えること。
  • 料金の金額と請求頻度
  • 継続請求を回避するための解約期限
  • 解約方法

6. 同意の取得

  • 「明確で十分な情報を提供した上での同意(express informed consent)」を取得し、記録を3年間保持すること

詳細はFTCの「Click-To-Cancel」発表をご確認ください。

「Click-To-Cancel」ルールがビジネスに与える影響

対象となる企業は、契約の登録・解約プロセスの見直しが必要になり、一時的な影響を受ける可能性があります。

新規契約者がすべて積極的にサービスを利用しているとは限らず、単に解約方法が分からずに契約が継続しているケースもあります。そのため、新ルールの導入により解約率の増加、顧客基盤の縮小、継続的な収益への影響が予想されます。しかし、企業がこの時点で、顧客維持を強化する方法もあります。明るい面から見ると、このルールは、本当にブランドを支持している顧客との関係を築くチャンスでもあります。解約手続きを簡素化し、関連法規に準拠することで顧客の信頼を向上させることができ、それがブランドの評価向上、新規顧客の獲得、ロイヤルティの強化、LTV(顧客生涯価値)の向上につながります。

一度設定すればあとは放っておいて良いという、短期的な「放置型」の戦略では、持続的な関係構築は難しくなります。このような顧客第一の規制は、企業がより良いパートナーとして顧客と向き合い、双方にとって価値のある関係を築くためのきっかけとなるでしょう。

オファーをより魅力的にする時が来た

「Click-To-Cancel」ルールが施行されると、ブランドは顧客維持のために顧客体験の向上にこれまで以上に注力する必要があります。

  • 提供している価値は何か? 顧客はどのようなメリットを受けているのか?
  • その価値を明確に伝え、ロイヤルティを高めているか?
  • 長期利用を評価し、報いる仕組みを作っているか?

企業は、価値をしっかりと伝え、顧客にとって意味のある行動へ導き、ポジティブな関係を長期的に築く戦略を考える必要があります。目指すべきは、「解約しづらい仕組み」ではなく、「また利用したい」と思わせる体験の提供です。

サブスクリプションや会員プログラムのための4つの顧客維持戦略

1. 手続きの透明性を高め、ストレスなく利用できる仕組みを整える

契約の更新や解約プロセスを見直し、不要な摩擦を取り除きましょう。クロスチャネルのアプローチを活用し、アプリ内・Webサイト上での通知とメール・プッシュ通知などのアウトバウンドメッセージを組み合わせて、更新時期を積極的に案内します。ただし、単に解約方法を伝えるのではなく、サブスクリプションの価値を再認識できるメッセージを添えることが重要です。

例えば、ミールキット(食材宅配)ブランドなら、次のようなメッセージを届けることができます。

「このサービスを利用することで、どれくらいの時間を節約できましたか?」「環境に配慮しているあなたへ。食品ロス削減にも貢献しています!」

顧客が得られるメリットを強調し、解約を再考するきっかけを作ることが、ロイヤルティ向上につながります。

2. 会員がサービスを最大限活用できるようサポートする

顧客が期待していた価値を十分に感じられずに離脱してしまうことがあります。会員登録後のアクティベーションを促し、習慣的にサービスを利用してもらうことが重要です。

  • アプリ内デモを活用し、主要な機能をスムーズに使いこなせるようサポートする
  • AIによるパーソナライズ推薦で、顧客に最適なコンテンツや商品を素早く提供する
  • ゲーミフィケーションを導入し、利用継続の習慣化を促す(例:連続利用で特典を得られる仕組みや、ロイヤルティプログラムへの誘導)

こうした工夫によって、顧客にとって「価値あるサービス」として定着させることができます。

3. 退会リスクを予測し、事前に対策を講じる

顧客のライフサイクルを通じて、満足度の変化を継続的に把握することが重要です。簡単なアンケートを活用し、離脱の兆候を早期に発見し、適切な対応を取ることができます。

また、予測分析ツールを活用し、離脱リスクの高い顧客を特定し、次のような施策を実施できます。

  • リスクのある顧客層に対し、特典付きの継続オファーを送る
  • 休眠顧客向けの再エンゲージメントキャンペーンを実施する

事前に適切な対応を行うことで、顧客離脱を未然に防ぎ、長期的な関係構築につなげることができます。

4. 休眠顧客を呼び戻す

一度離れた顧客も、必ずしも永遠に戻らないわけではありません。期間限定の特典、ロイヤルティインセンティブ、または新機能の提供など、魅力的なキャンペーンを設計し、再び興味を持ってもらいましょう。かつて得ていた価値を思い出させ、今それを逃していることを伝えることで、再エンゲージメントにつなげることができます。

まとめ

ブランドは「Click-To-Cancel 」ルールを恐れる必要はありません。これは、顧客エンゲージメントにおけるベストプラクティスを強化する絶好の機会であり、顧客ロイヤルティの向上とLTVの増加につながります。

透明性の高いプロセスは、「Click-To-Cancel」のコンプライアンスをサポートするだけでなく、消費者からの信頼を構築します。隠れた条件がないことがわかれば、新規顧客は購読する傾向が強くなるでしょう。

他のブランドが、顧客維持と成長促進のために、最高クラスの顧客エンゲージメント戦略をどのように活用しているか、ご興味はありませんか? KFCのアクティベーション、顧客維持、収益化における成功事例(英語)をご覧ください。

また、日本では、こういったルールは適用されていませんが、消費者保護に関する法律や規制は強化される傾向があるため、類似のルールが導入される可能性はありますので、政府や関連機関の動きは注視する必要がありそうですね。

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