公開 2025年1月10日/更新 2025年1月10日/12 分で確認
LINEのID連携は、ユーザーには利便性の向上を、自社には顧客情報の利活用をと、双方に恩恵をもたらします。一方、個人情報の活用に配慮が必要であるなど、注意点も知っておくことが大切です。
この記事では、LINEのID連携の意味やメリット、方法や注意点、活用事例をご紹介します。
LINEのID連携とは、自社サービスと顧客のLINEアカウントを連携させることで、自社所有の顧客情報とLINEのユーザー情報を紐付けできる機能です。
例えば、「過去2年以内に自社ECサイトである製品を購入した顧客に対して後継機種の情報をLINEから配信する」といったように、自社が持つ顧客情報とLINEの力を組み合わせた施策が可能となります。
では、LINEのID連携を活用するメリットを具体的に確認していきましょう。
多様な顧客情報の一元管理は、データドリブンなマーケティングを実現するための最初の課題です。
LINEのID連携によりデータを統合すれば、所有済みの顧客情報をまとめて管理しやすくなり、顧客への適切なアプローチの検討や新たなインサイトの発見を進めやすくなります。
ID連携によりLINEの力を自社サービスに取り入れることは、業務の効率化にも繋がります。
LINEには、一部のメッセージの配信や返信を自動化できるビジネス向け機能があります。このような機能をカスタマーサポートの初期窓口として活用すれば、社員の負担を軽減しつつ、昼夜を問わず顧客への対応ができるようになります。
マーケティングでは、どのようなコンテンツで宣伝するのかと同じくらいに、どのような顧客層にアプローチするのかも考慮する必要があります。顧客の抱えるニーズによって成果が期待できる配信内容は変わるためです。
LINEのID連携によりデータ分析を行い、顧客のセグメント化(同じ属性を持つ人々のグループ化)を進めれば、それぞれのニーズを考慮した配信内容を検討できます。
顧客のセグメント化によりニーズに寄り添った配信が可能となることは、ユーザーからのLINEのブロックや未読の削減にも繋がります。顧客が不要と感じる広告を減らすことは、自社のブランドイメージを守る観点からも有効です。
OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインの融合により顧客体験(CX)を向上させるマーケティング手法です。LINEはこのOMOの実現手段として優れています。
例えば、実店舗のレジに「LINE友だち追加で○○円OFF!」のようなPOPを配置してID連携を促し、登録後は購買履歴に基づいたおすすめ商品の情報をデバイスへ配信していくなど、多様な形で活用ができます。
OMOの重要性や詳細は以下の記事をご覧ください。
>>OMOとは?小売業界での重要性やオムニチャネルとの違い、導入事例についても紹介
ほかにもLINEのID連携では、LINEアプリ上でポイントカードを発行できたり、自社サービスへの自動ログインの手段にできたり、実店舗の来店予約をLINE内で完結できたりと、さまざまな機能が用意されています。アイデア次第で自社サービスの改善と顧客の利便性の向上を推進できます。
自社サービスとLINEのID連携を行う方法は3種類あり、LINEログインと呼ばれるAPIを活用するもの2種類と、Messaging APIを利用するものとに分かれています。それぞれの特徴を確認していきましょう。
王道の手法となるのが、LINE公式アカウントのトーク画面からの連携です。トーク画面内の各種メッセージやリッチメニューから認証同意画面に飛び、利用規約などを提示したうえで、連携したい自社サービスへのログインを要求します。
この方法の場合、IDの認証・連携許可はユーザーとLINEとの間で直接実行されます。自社サービスに認証・連携用の機能を組み込む必要がない点が魅力です。
自社サービスへのログイン方法の一つとして、LINEによるソーシャルログイン(外部IDによるログイン)を提供することでもID連携はできます。
自社のアプリに機能を組み込む必要はありますが、ユーザー視点では、自社サービスの利用に向けて新しくIDやパスワードを取得する負担がありません。顧客目線での利便性に優れた方法です。
Messaging APIとは、LINE公式アカウントで友だち登録が済んでいるユーザーとコミュニケーションを取るためのAPIです。前述のLINE公式アカウントでの連携方法とほぼ同じように、LINE公式アカウントのトーク画面からサービスログイン画面に遷移させる形でID連携を提供できます。
両者の違いは開発者視点での提供の方法にあり、Messaging APIではWebアプリごとのLINE Developersコンソール上での一部設定が不要となるなど、手軽さに優れています。
詳細は以下をご覧ください。
>>ユーザーアカウントの連携 | LINE Developers
LINEのID連携にはさまざまなメリットがありますが、利用の前には注意点を理解しておくことも大切です。
LINEのID連携は、顧客の個人情報を利活用するための機能です。このような機能では、改正個人情報保護法をはじめとする法規制に抵触しないよう、情報の取扱いに細心の注意を払う必要があります。
倫理的な側面からも、少なくとも以下の事項には配慮しておくべきでしょう。
個人情報の利活用においては、セキュリティ対策の徹底も重要です。ひとたび個人情報の流出が発生すれば、それは自社に対する重大なレピュテーションリスクとなります。
具体的な対策としては、ビジネス向けのセキュリティ対策ソフトの導入はもちろん、情報管理の責任者の配置や取扱い規則をまとめた社内マニュアルの作成などが考えられます。
法的・倫理的な観点とは別に、ID連携の利用者を増やすためには、ユーザーに登録のメリットを伝える必要があります。割引クーポンの付与や最新情報の提供、新製品のモニターの募集など、ID連携で得られる恩恵を宣伝しましょう。あわせて、セキュリティ対策などの社内の取り組みも公表し、ユーザーの不安を取り除いていけると完璧です。
そのほか、LINE側のルールにより、ID連携を活用する場合は、ID連携の解除機能の提供と、(解除機能があることの)ID連携時のユーザーへの通知が必須と定められています。
例えば、LINE公式アカウントの機能であるリッチメニューを活用して、ID未連携者には連携画面への誘導メニューを表示し、ID連携者には解除画面へのパネルを表示するなど、解除機能の準備は怠らないようにしましょう。
リッチメニューについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
>>LINEのリッチメニューとは?概要から作成・設定方法、活用事例まで徹底解説
続いて、LINEのID連携の活用事例をご紹介します。
電子書籍の大手ECサイトでは、LINE公式アカウントを通じてアプローチできるユーザー数の増加を目指してID連携機能を導入しました。
デバイス上でコンテンツの決済から提供までを完結できる電子書籍は、LINEとの親和性が高いサービスです。同サイトでは、顧客の属性に適した作品を宣伝する方法としてLINEを選択。まずはID連携による友だち数の増加を目指しました。結果、ID連携の導入から1年でLINEの友だち数が約8倍にまで上昇するなど、確かな成果を手にしています。
ある化粧品ECサイトでは、商品訴求メッセージのパーソナライズ化にLINEのID連携を活用しました。
同社は、ユーザーの購買回数によって訴求すべき情報が異なる点に着目。新規や購入回数の少ないライトユーザーにはブランドの世界観や製品の必要性、使用時期などを伝え、ロイヤルユーザーには限定商品の情報やリマインダーの連絡を配信しました。セグメントごとのニーズに適したこうした情報の配信により、ECサイト経由の売り上げを5倍以上にまで成長させています。
人材業界では人物の特性と仕事内容のミスマッチが離職の可能性を高める要因となりますが、その解決策としてLINEのID連携が注目されています。
ある大手転職サービスでは、ユーザーがLINE公式アカウントを友だち追加すると、具体的な求人情報の提供前に自社IDとの連携を求める画面を提示しています。やみくもに求人情報を伝えるのではなく、自社IDに登録済みの求職者情報を元に希望や適性とのマッチ度の高いものを吟味し、LINEからお知らせする仕組みです。
金融業界では、LINEのID連携によりインターネットバンキングへのログインを自動化できる銀行が登場しています。
ある銀行では、LINEのトーク画面から「入出金明細を教えて」などと質問すると直近の明細を返答してくれる機能も提供しており、利便性の向上に一役買っています。
LINEを通じたマーケティングの実践にあたっては、Brazeの導入もご検討ください。
マーケター支援ツールの「Braze」は、2024年からLINE公式アカウントとの連携機能に対応しました。この機能は、LINEを通じたメッセージ配信や顧客情報の管理などを、Brazeのプラットフォーム上でまとめて操作できる仕組みです。
例えば、化粧品ECサイトの事例のような購買履歴を基準とした顧客のセグメント化も、Brazeなら簡単です。プログラミングや高度な統計の知識は不要で、直感的な操作のままユーザーをグループ化できます。
メッセージの内容や送信タイミングについても、AIを活用したサポート機能によりインサイトを提供。工夫次第でどなたでも熟練のマーケターさながらの施策を実行いただけます。
LINEのID連携とは、自社サービスと顧客のLINEアカウントを連携させる機能です。情報の掛け合わせによってパーソナライズされたメッセージを送信できるようになるなど、相乗効果が期待できます。
ここでご紹介した連携の方法を参考に、ぜひLINEのID連携をマーケティングに取り入れてみてはいかがでしょうか。そして、その実践にあたってはBrazeの活用もぜひご検討ください。
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