公開 2025年2月10日/更新 2025年2月10日/9 分で確認
2025年4月にBrazeの日本法人の代表に就任し、2025年1月末で初年度を終えた水谷さんに昨年度の感想と2026年度(2025年2月〜)の戦略と意気込みをインタビューしました。
入社して、最初に行った大きな取り組みは全社員を集めたオフサイトミーティング(小田原)でした。創業から3年が経ち、成長痛と言える課題もあり、必ずしも良い話ばかりではありませんでしたが、すべての課題を社員全員で共有し、解決に向けたディスカッションを重ね、2030年に向けたイニシアティブに落としこめたのはとても良かったと思います。
イニシアティブの中に認知度を上げるという取り組みがあるのですが、ここ数ヶ月で、大きく認知度は改善していると感じます。実際、主催イベントでは1,300名を超える登録者をいただき、人材採用の面でも優秀な人材からの転職希望が急増しています。
また、お客様との対話の機会を増やしているのですが、ソリューションの完成度が高く、お客様の満足度が非常に高く、自信を持ってこの事業に望めるという手応えを感じています。
一方、日本市場でのカスタマーエンゲージメントという考え方や正しい理解の浸透はしておらず、また、私たち自身もその価値や成功への手法等を語りきれていない、届けきれていない、と感じています。
顧客体験とは顧客接点、つまりビジネスそのものと言えますが、グローバルでは収益を上げるマーケティング部門、製品を作る開発・エンジニア部門、それを支えるIT部門が有機的に連携し、この文脈を適切なテクノロジーとデータを組み合わせ、アップデートし続けています。顧客のニーズが変わり続けるため、パーソナライズとスケール化、そしてリアルタイム性は必須条件です。
一方、日本市場ではカスタマーエンゲージメントが経営課題となっている企業がほぼなく、限られたリソースの中、マーケティング部門がリソース不足の中、現場の努力と創意工夫で、短期的なKPIを満たすための個別最適が積み上がっています。顧客体験全体で見れば、顧客から見て、チグハグしたものとなり「残念な顧客体験」につながっており、収益減退とブランド価値の棄損を発生させています。しかもそのことに気づいていない企業も数多く存在します。この個別最適という文脈は日本企業で数多く発生しているテーマで、この領域でも全体最適で課題解決に当たるという視点が重要だと思います。
DX前提で形作られたデジタル企業は全体最適も進んでいます。これらの企業、産業、具体的にはマーケットプレイス型の業態やストリーミング業界等はBrazeとの相性がとても良いと感じています。また、Brazeのテクノロジーの先進性で、業態によってはBraze一択というところも現れ始めました。
テクノロジーの先進性を評価していただき、Brazeを採用いただくというアプローチは継続しつつ、お客様のビジネスを理解し、既存の事業の成長と中長期のありたい姿にどう寄り添えるか?つまりお客様のビジネス価値を一緒に引き上げていくようなアプローチを今年から強化したいと思っています。実現には私たち自身のスキルを高め、お客様を中心に考える組織変化が必要ですし、私たちだけでなく、ビジネスパートナー様のご支援もいただき、エコシステム自体を成熟させていく必要があります。
直近ではエンタープライズ企業と言われる大企業からの需要が増えているものの、必ずしもデジタルに強い企業ばかりというわけではありません。こういったお客様のビジネスの成果にも貢献できるエコシステム作りにも注力していきます。この点に関してはパートナー様への期待も高く、しっかり協力しながらお客様に向き合っていきたいと思います。
基本的に2つのアプローチがあると思っています。一つは日本市場のニーズを捉えたBraze自身の製品強化です。昨年はLINEとBrazeの連携機能の発表を行いました。メッセージアプリは国によって使用されるものが異なります。米国ではWhatsApp、韓国ではKakaoTalk、欧州ではViberというところもあるでしょう。これら異なるメッセージアプリでも、顧客へメール、アプリ、ウェブといった他のチャネルと合わせて、Brazeから一貫した体験を届けられるため、非常に大きなマイルストーンだったと思います。実際、お客様からの問い合わせや反応も良く、大きな手応えを感じており、さらに強化していきたいと思います。
二つ目はプロダクトアライアンスです。求められる機能すべてをBrazeで開発することは利便性や製品の複雑性の回避という意味で適切ではありません。すでに日本市場で受け入れられている製品サービスとは業務提携を含めたアライアンス戦略を立て対応し、製品連携を検討していきます。すでにいくつか連携候補もあり、本年度、具体的な発表ができればと思っています。
お客様のビジネスの理解度を上げ、寄り添っていくには私たち自身がバラバラでは意味がありません。社員の私たちのビジョンの腹落ち感も大事ですし、イニシアティブも実行されなければ意味がありません。
Brazeはコロナ禍に立ち上がった会社で、デジタルネイティブな社員も非常に多く、オンラインで業務が高速に効率良く進みます。それに加え、最近は出社して、顔を合わせたコミュニケーションをしたいという社員も増えてきました。同じ方向性の元に社員それぞれがリスペクトし譲り合い、助けあい大きな目標を達成していく、そんなチームと組織文化にしていきたいと思っています。
対面型のラウンドテーブルやテックタッチを活用した情報提供などを定期的に開催していますが、特に年末にBonFireというお客様を集めた感謝祭では、その熱量に圧倒されました。自社でうまくいったキャンペーンの発表やケースの共有、中にはBraze Canvasの細かい設定までを共有し合うそんなエネルギーに触れることができました。
また、米国ラスベガスで開催された年次イベントFORGEに数多く日本から参加があり、グローバルのベストプラクティスを学びたいというお客様も増えてきました。また、グローバルのBraze Torchie Awardsにチャレンジし、日本発世界へを体現する企業も現れ始めました。
Brazeからは今後も必要な情報提供を行い、コミュニティーを醸成、発展させていく取り組みを加速し、Brazeのファンを増やしていくこと自体が私たちのビジネス拡大にも直結すると考えています。
日本市場のビジネスはまさに成長期、拡大期の入り口に差し掛かっていると考えています。組織をスケール化させていくための仕組み作りに力を入れるフェーズと捉えています。最終的には各リーダーが意思決定し、会社を引っ張っていく姿にしていきたいと思っています。
私自身もCXやマーケティングという領域への理解や解像度をより上げていきたいと思います。そう、お客様ともっと会話がしたいと思っています。ビジネスでの悩みや課題、経営のアジェンダでカスタマーエンゲージメントを語りたい。「私たちはお客様のビジネスに貢献できたか?」「ビジネス変革の一助となれたか?」それを私たちの私たち自身への問いとして当たり前のようにできるかが大事だと思います。
Brazeはジョイントベンチャー方式を採用し、ローカルにある程度の権限と責任がある組織形態で運営されています。グローバルで支持された製品やオペレーションモデルを生かしつつ、日本固有の要件には個別に対応していく、そんなアプローチが実現できています。本社も徹底した権限委譲と投資に関するコミットメントが十分得られている状況です。
とにかく、Brazeを良い会社にしたいと思っています。良い会社とはビジネスも数字も好調、お客様から感謝され、かつ働く社員も毎日楽しく働いている。私たち自身が社会に貢献できる会社、日本に役立つ会社へ。みんなで2026年度もワンチームで進んでいきたいと思います。
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