公開 2025年1月28日/更新 2025年1月28日/11 分で確認
顧客エンゲージメントは常に進化していますが、2024年は特に変化のスピードが速い1年でした。特にメールマーケティングの分野では、多くの大きな変化が見られました。2月にはGmailやYahooが送信者に対する要件を強化し、9月にはAppleがメールアプリにタブ機能やAI要約の対応を発表しました。
そして、新しい年を迎えて、多くのメールマーケターが気にしているのは、「2025年にメールがどう変わるのか?」という点です。この疑問に答えるべく、私たちはEmail Deliverability Servicesチームと話し合い、5つの主な予測をまとめました。
これまで、SPF(Sender Policy Framework:メールの送信元が正しいかどうかチェックする機能)やDKIM(DomainKeys Identified Mail:メールの送信元ドメインに対して電子署名を行い、受信者側で検証することでなりすましやメールの改ざんを検知)が必須条件とされてきました。しかし、2024年にGmailやYahooがDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance:SPFとDKIMを利用してメールのドメイン認証を補強)(の導入を義務付けたことで、DMARCは多くのメールマーケターにとって欠かせないツールとなりました。ハッカーが常に巧妙な方法でセキュリティを脅かしている現状を踏まえ、2025年も認証の重要性は引き続き注目されると予測されます。
最近では、「BreakSPF」という新たな脆弱性が確認されました。BreakSPFは、SPF設定において、大量のIPアドレスがSPFレコードに記載される一般的な誤設定を悪用します。これにはCDN(コンテンツ配信ネットワーク)が含まれる場合があり、なかには「すべてのIPを許可」するSPFエントリが設定されているケースもあります。この脆弱性を利用して、不正利用者が同一IP範囲内にアクセスし、SPF認証を回避して正当なメールのように見せかけた偽装メールを送信することが可能になります。
メールは依然として、BreakSPFのような脆弱性にさらされ続けている状態にあるため、2025年はより強力な認証の必要性がさらに高まるでしょう。多くのブランドがDMARC設定を「p=none」から「p=reject」へと進めざるを得なくなると予想されます。
近年のAI技術の進化は、顧客エンゲージメントの分野に大きな影響を及ぼしており、その中でもメールが重要な役割を果たしています。特に、高度なパーソナライズやレコメンデーションエンジンを活用し、真の1対1のコンテンツカスタマイズを実現するために、AIがメールマーケティングで広く活用されるようになっています。また、メールマーケターが行動に基づいてコンテンツや好みを調整し始めている今、配信可能性にも同様のアプローチを適用することが期待されています。例えば以下のような活用が考えられます。
IP ウォームアップ
IPウォームアップとは、送信者の配信可能性の基盤であり、IPウォームアップがなければ、希望する相手に希望するタイミングでメールを送ることはできません。
従来、IPウォームアップは少量のメールを徐々に増やしながら、エンゲージメント率を維持するという非常に詳細なプロセスが必要でした。このプロセスには、継続的な監視と調整が欠かせず、多くの手間を要していました。しかし、AIを活用することで、このプロセスの多くが自動化され、リアルタイムデータの変化に応じてメールボックス単位での微調整が可能になります。これにより、ウォームアップのプロセスの迅速化と労力の減少、何よりも人為的なミスの可能性が大幅に低下します。
リアルタイム監視と調整
IPウォームアップと同様に、AIはリアルタイムでの配信可能性の監視と即時の微調整を可能にします。例えば、高いハードバウンス率やスパム苦情の増加、あるいはボット攻撃の可能性といった問題を即座に特定し、それに基づいて調整を行います。また、リアルタイムのスロットリング、抑制ルール、セグメンテーションルールに基づく即時対応も可能になり、AIが介在することで、メールマーケターは最小限の手間で強固なレピュテーションを維持できるようになります。
クロスチャネルの活用
クロスチャネルエンゲージメントは、すでに多くの先進的なブランド戦略の重要な要素となっていますが、2025年にはクロスチャネルでのメッセージ配信がさらに進化することが予想されます。現在、IPウォームアップを進める送信者は、メールが配信不可能な場合にSMSを使用することが一般的です。これにAIを組み合わせれば、IPウォームアップ中の必要に応じたコミュニケーションを自動的にトリガーできるようになります。
AIはメールのレピュテーション構築を自動化し、SMSやアプリ内メッセージ、プッシュ通知など利用可能なすべてのチャネルを活用し、重要なメールや大規模なキャンペーンに影響を与えることなく、必要なコミュニケーションレベルを維持します。この一連のプロセスが、メールの配信可能性と購読者とのコミュニケーションを最適化する形で管理されるため、より洗練されたIPウォームアップや配信戦略が実現します。
近年、複数のメールボックスプロバイダーがプライバシーとセキュリティを重視したアップデートをリリースしました。Appleは「MPP(Mail Privacy Protection)」を導入し、開封トラッキングを匿名化しました。今年初めには、Gmailが特定の送信者に対してメール内の画像を非表示にする機能を追加しました。
ここで再確認しておきたいのは、メールの「開封」は必ずしも「実際にメールが開かれた」ことを意味しないということです。正確には「ピクセルロード」と考えるべきで、1x1ピクセルの画像がメールに埋め込まれ、それが受信者によって読み込まれることで開封として記録されます。
長年、メールの配信可能性において「開封率」は重要な指標でしたが、2025年においてもそれが通用するかはわかりません。MPPやGmailの更新は開封率に影響を及ぼしましたが、その影響はまだ軽微なものです。しかし、メールボックスプロバイダーがさらに高度なプライバシー機能を導入すれば、開封率への依存がますます難しくなる可能性があります。
この分野で優位に立つためには、今から対策を講じるべきです。配信可能性を測る指標として、メールマーケターが注目すべき項目は他にも多くあります。例えば、バウンス率やスパム苦情率、GoogleのPostmaster ToolsやMicrosoftのSNDSなど、Braze Deliverability Centerで利用可能なツールを活用できます。
また、エンゲージメントの測定方法も、受信者や送信者ごとに異なるアプローチが必要です。「過去x日以内に開封した」といったセグメントに代わり、以下のような指標の検討が可能です:
特定のアクションを実行した「最良を期待しながら最悪に備える」という姿勢が重要です。将来的に開封トラッキングが利用できなくなった場合に備えて、どのように配信可能性を測定するか、現在利用可能なデータや将来的に必要になるデータポイントについて考え始めましょう。
BIMI(ビミ、Brand Indicators for Message Identification)は、送信者がメールの送信名の横に自社のブランドロゴを表示できる仕組みです。これにより、ブランドへの信頼感を高め、フィッシングやメールスプーフィングによる被害リスクを軽減できます。
BIMI導入におけるこれまでの2つのハードル:
しかし、GmailやYahooがすでにDMARCの導入を義務化したことで、ほとんどの送信者は1つ目の条件をすでにクリアしています。また、最近ではVMCやCMCが必須ではなくなりました。そのため、現在はDMARCを設定し、自社公式ロゴのSVG形式ファイルを用意するだけでBIMIの設定が可能です。
これにより、BIMIの導入がより簡単になり、受信者の信頼を高めるとともにブランドの認知を強化する効果が期待できます。
2024年は多くの企業が予算を引き締め、採用を減らし、限られたリソースで多くの成果を求められる状況となりました。この傾向は今年も続くと予想されます。特に送信者の評判を維持するプレッシャーが増す中、信頼できる専門家がサポートにいることが重要です。
Brazeのメール配信到達性サービスでは、専任のコンサルタントが提供され、問題が発生した際の対策や修復、さらには定期的なチェックインを実施します。このコンサルタントは、あなたのチームの一員のように機能し、メール配信の専門的な知識を活かして最適な判断をサポートします。また、受信トレイへの到達率やスパムトラップ、ブロックリスト問題などの課題を効率的に解決することで、マーケターがメッセージの作成に集中できる環境を提供します。
2025年に向けて、メール配信の状況は引き続き進化していくでしょう。こうした変化に適応するためには、ブランドが利用可能なツールを積極的に活用し始める(さらに活用する)ことが重要です。より詳しいサポートは、Brazeの配信到達性サービスチームをご覧ください。
将来の見通しに関する記述
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